Grieg 組曲「ホルベアの時代より」/
Barber ヴァイオリン協奏曲/
Bartok 管弦楽のための協奏曲
(スティリアン キーロフ/カラマズー交響楽団/リザ・フェルシュトマン(v))


Kalamazoo Symphony Orchestra自主制作音源? Grieg

組曲「ホルベアの時代より」

Barber

ヴァイオリン協奏曲

Bartok

管弦楽のための協奏曲

スティリアン・キーロフ/カラマズー交響楽団/リザ・フェルシュトマン(v)

Kalamazoo Symphony Orchestra自主制作音源? 2016年録音

 小学生時代からの長いクラシック音楽ファン故、かつて鉄板と評された音源を聴いておくのはもちろん、ふだん馴染みのない音楽、団体や次世代を担う指揮者、ソロイストにも注目しております。Kalamazoo Symphony Orchestraとはアメリカ合衆国ミシガン州南西部の小さな都市にある団体とのこと。Stilian Kirov(1984-勃牙利)、Liza Ferschtman(1979-阿蘭陀)いずれも初耳。作品はお馴染みでした。

 Griegは弦楽による擬バロック風組曲。冒頭から爽やかに躍動する「前奏曲 Allegro vivace」から、音質クリアに適度なな会場の空気空間を感じさせて、弦は瑞々しいサウンドでした。(2:56)「サラバンド Andante espressivo」は優しくそっと、シミジミとデリケート、懐かしい北欧の哀愁抒情を感じさせるところ。(3:56)「ガヴォットとミュゼット Allegretto-Poco piu mosso」はいかにもバロックのリズムを借りて、ちょっぴりざらりとしたサウンドに、温かい憧憬を感じさせました。(3:29)「アリア Andante religioso」(7:05)は泣ける、いかにも旅情たっぷり纏綿と歌われます。「リゴドン Allegro con brio」は合奏協奏曲風にヴァイオリン・ソロが合奏と掛け合って愉しいところ。(3:57盛大なる拍手入) ツヤツヤ、セクシーに鳴る弦じゃないけれど、オーケストラの誠実な技量と聴きました。

 Barberのヴァイオリン協奏曲は1939年にしてはずいぶんと平易な、甘い旋律が漂います。第1楽章「Allegro」リザ・フェルシュトマンのソロはいきなり登場、ずいぶんと浪漫的な旋律は抑制を効かせて線は細め、静謐な詠嘆が続きました。それに応える管弦楽もそっと寄り添うような対話に情感は高まります。。(11:00)第2楽章「Andante」はもの哀しいくも長いオーボエ・ソロから始まって、ホルンも絡んで憂鬱な気分は深まります。ようやく2:30頃にそっとヴァイオリン参入、金管が呼応して激情を高めて、しっとり楚々としたソロと絡み合いました。(8:40)第3楽章「Presto in moto perpetuo」はヴァイオリンのテクニックを必要とする無窮動。ほとんど無調とのことだけど、晦渋さも濁った不協和音も感じさせぬ、息付く間もない一気呵成な熱気が見事でした。(4:22熱狂的な拍手入)前曲は弦のみだったので気にならなかったけれど、ちょっぴりオーケストラの響きはやや薄く、誠実に過ぎるもしれません。

 そしてオーケストラの技量が問われる名曲中の名曲Bartok。第1楽章「Introduzione(序章)」前曲からのイメージに少々オーケストラのパワーを危惧したけれど、怪しくも神秘的な始まりから悲痛な弦が叫ぶ出足、悠々たるスケールと切れ味は予想外に立派でした。各パートに曖昧さは見られないけれど、金管は(脳裏にイメージあるシカゴ交響楽団ほどキレッキレの)名人揃いではないかも。(10:15)第2楽章「Presentando le coppie(対の提示)」はとぼけた小太鼓のリズムがおもしろいところ。その存在感はリアルに木管のユーモラスな掛け合いも魅力なところ。このスウィング感とアンサンブルの正確さはオーケストラにとって難物なのでしょう。途中登場する金管も含めて、各パートに弱さを感じさせません。(6:43)第3楽章「Elegia(悲歌)」は妖しくも神秘、幻想的な夜の歌。各パートが静かに歌いつつ、やがて激しい爆発の対比も迫力凄みも充分。Wikiにあるように「青ひげ侯の城」を彷彿させるところ。(7:12)

 第4楽章「Intermezzo interrotto(中断された間奏曲)」はなんとなく無表情のユーモアを感じさせるところ。ShostakovichやらLeharの引用があるそうな(あまりわかっていない)技術的に云々じゃなくて、ホルンやクラリネットの音色が少々大人しい。途中トロンボーンの「ブーイング」、木管楽器による「嘲笑」はもっと弾けて欲しかったところ。(4:31)そしてラスト第5楽章「Finale(終曲)」は冒頭ホルンのぶちかましから迫力充分、弦の無窮動とティンパニのリズム感はアンサンブルの真価を問われます。ややリズムやノリにもたつきを感じても、ここは努力賞ものの誠実な熱気を感じました。(10:57喝采入) 予想外の熱演に驚きました。スティリアン・キーロフの統率の成果でしょうか。音質も重要なポイントだったことでしょう。

(2023年7月15日)

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written by wabisuke hayashi